面接を成功させるための全体像
このページを読めば、外国人面接の「全体の流れ」がつかめます
「外国人を採用したいけど、面接ってどうやればいいの?」と悩んでいませんか?
特に地方の中小規模の介護施設では、外国人の採用経験がなく、不安を感じている方も多いはずです。
でも大丈夫。面接の基本的な流れとポイントを押さえておけば、誰でも実施できるようになります。
この章では、採用の全体像、面接の役割、関係機関との連携について、丁寧にわかりやすく解説していきます。
採用までの流れをおさえることが第一歩です
外国人を採用するには、いくつかのステップを踏む必要があります。
「募集 → 面接 → 内定 → 入国 → 就労開始」という大まかな流れに見えても、実際にはそれぞれに注意点があります。
たとえば、採用活動を始める前には、送り出し機関や登録支援機関と連携して、ビザや在留資格の確認、必要な書類のやりとりを行わなければなりません。
面接はこのプロセスの中でも「候補者の人物像を知る」「お互いのミスマッチを防ぐ」ための重要な場です。
流れを図で整理すると、全体の中で今どの段階にいるかが見えやすくなります。
面接は合否を決めるだけの場ではありません
面接というと「合格か不合格かを決める場」というイメージが強いかもしれません。
しかし外国人採用ではそれ以上に、「信頼関係を築く第一歩」としての意味がとても大きいのです。
特に文化や言語が異なる外国人にとって、日本の介護施設で働くことには大きな不安が伴います。
面接の場で、施設の雰囲気や働き方をしっかり伝えることで、「ここで働きたい」と思ってもらえることもあります。
採用の可否を見極めることと同時に、「安心して来てもらう」ことを意識するだけで、面接の質はぐっと上がります。
支援機関と連携することで、面接もスムーズになります
外国人採用には、送り出し機関や登録支援機関との連携が欠かせません。
たとえば、ミャンマーやインドネシアの候補者であれば、現地の送り出し機関が履歴書の準備や事前教育を行います。
一方、採用後の生活支援や入国手続きは、日本側の登録支援機関が担います。
面接の前には、これらの支援機関としっかり情報共有をしておくことで、当日の進行がスムーズになり、想定外のトラブルも防げます。
通訳の手配や文化背景の説明など、現場にとって心強いサポートを受けられることも多いので、遠慮せずに相談しましょう。

面接前に行うべき「準備」と「確認」
面接の成否は「当日」ではなく「事前準備」で決まります
「面接で何を聞けばいいか不安」「候補者のことをよく知らないまま面接に臨んでしまった」――そんな声をよく聞きます。
でも安心してください。面接を成功させるカギは、当日の質問内容よりも事前の準備と確認作業にあります。
この章では、面接前に整えておくべき書類、候補者理解のための情報収集、面接を行う側の体制づくりについて詳しく解説します。
面接前に整えておきたい書類と基本情報
面接の前に、最低限チェックしておくべき書類は以下の3つです:
- 履歴書(顔写真付き)
- 日本語能力証明(N4/N3などJLPTやJFT-Basic)
- 在留資格(あるいはその申請予定)
これらの書類があれば、候補者の学歴や職歴、現在の日本語レベル、在留資格の見通しを把握できます。
また、事前に**「志望動機」や「家族構成」などの聞き取りシート**を送り出し機関に依頼しておくと、面接中のやりとりが具体的で深いものになります。
これらの準備が不足していると、面接当日に聞いても曖昧な回答しか得られず、正しい判断ができなくなってしまいます。
候補者の文化・宗教・言語背景を知っておく
東南アジアから来る候補者の多くは、私たちとは異なる文化や宗教の価値観を持っています。
たとえば、インドネシアやマレーシアの候補者はイスラム教徒であり、祈りの時間や食事に関する配慮が必要です。
一方、フィリピンの候補者はカトリック文化を背景にもち、家族をとても大切にする傾向があります。
これらの背景を理解していないと、面接中のちょっとした質問や態度が「無理解」と受け取られ、信頼を損なう可能性もあります。
事前に送り出し機関から文化・宗教・価値観の概要を聞いておくことは、面接の質を大きく左右するポイントです。
面接官・通訳者の選定と役割のすり合わせ
外国人の面接には、「だれが面接するか」も非常に重要です。
施設長や現場リーダーだけでなく、外国人とのコミュニケーションに慣れている職員が同席することで、安心感が生まれます。
また、通訳を使う場合は、通訳者と事前に「面接の流れ」「伝えたいこと」「NGな聞き方」などを共有しておくことが大切です。
通訳がうまくいかないと、候補者の本音や適性が正しく伝わらず、誤解や評価ミスの原因になります。
できれば面接官同士でも事前にロールプレイをして、質問の分担やリアクションの取り方を確認しておくと安心です。

面接で確認すべき具体的ポイントと質問例
面接では「質問内容」と「聞き方」で、相手の本音が引き出せます
面接での最大の目的は、「この人が施設で安心して働けるか」を見極めることです。
そのためには、質問内容とともに「やさしい日本語」や「文化をふまえた聞き方」がとても重要になります。
この章では、外国人候補者に対して確認すべき3つの視点――「日本語力」「仕事への姿勢」「価値観や考え方」――について、具体的な質問例とともに紹介します。
日本語レベルを確認するには「やさしい日本語」が基本
多くの外国人候補者は、JLPTのN4~N3レベルで面接に臨みます。
しかし、筆記試験では合格していても、会話になると理解が追いつかないというケースは少なくありません。
そこで面接では、できるだけ「やさしい日本語」でゆっくり、短く話しかけることが大切です。
たとえば、こんな聞き方が効果的です:
- 「いま、どこに すんでいますか?」
- 「にほんごの べんきょうは、どのくらい しましたか?」
- 「しゅみは なんですか?」
難しい表現を使わず、単語を区切って話すことで、候補者の本当の理解力や返答力が見えてきます。
逆に、「現在の居住地を教えてください」など、丁寧すぎる日本語はかえって通じない場合があるので注意しましょう。
介護職への適性・志望理由・将来のビジョンを確認
候補者が「なぜ日本で介護の仕事をしたいのか」を深掘りすることは、志望動機の強さや将来の定着に大きく関わります。
本人の言葉で語ってもらうことで、「気持ちの強さ」「目標意識」が見えてきます。
以下のような質問が有効です:
- 「どうして かいごの しごとを したいと おもいましたか?」
- 「にほんで どのくらい はたらきたいですか?」
- 「しょうらい、なにを したいですか?」
こうした質問を通して、「家族のために日本で働きたい」「将来、母国で介護施設を開きたい」など、人生の目標を知ることができます。
その熱意は、困難にぶつかったときにも立ち向かえる力になります。
トラブル対応経験や価値観をさぐる質問も大事
介護の現場では、トラブルやストレスがつきものです。
候補者の過去の経験や、価値観・考え方を知ることで、現場との相性やチーム適応力を判断するヒントになります。
たとえば、以下のような質問が適しています:
- 「まえの しごとで、たいへんだった ことは ありますか?」
- 「そのとき、どう しましたか?」
- 「あなたが たいせつに している ことは なんですか?」
日本とは異なる文化の中で育ってきた候補者には、独自の考え方があります。
その違いを否定するのではなく、まず「理解しようとする姿勢」を面接側が持つことで、信頼関係が生まれます。

東南アジア人材の国別特徴と面接時の注意点
「国によって違う」を理解すれば、もっとよい面接ができます
同じアジア出身でも、国ごとに文化・価値観・宗教は大きく異なります。
面接で候補者に好印象を与え、信頼関係を築くには、「その国ならではの背景」を理解して対応することが大切です。
この章では、実際に介護の現場で多く採用されている4か国――ベトナム、フィリピン、インドネシア、ミャンマーの特徴と、面接時の注意点を紹介します。

ベトナム:まじめで勤勉、日本文化へのなじみも早い
ベトナム人材は、礼儀正しく、指示に従う力が高いことで知られています。
また、日本のアニメや文化に親しみを持って育った人も多く、生活習慣や価値観のギャップが比較的少ないことが特徴です。
面接では、「○○したことはありますか?」のような問いかけに対し、自信がなくても「はい」と答えることがあるため、
一つひとつを深掘りして確認する姿勢が大切です。
【注意点】
- 相手の話にうなずく=「理解した」ではないことがある
- プライドが高く、「わかりません」と言いづらい人もいる

フィリピン:高い英語力と笑顔のコミュニケーション力
フィリピンの候補者は、英語教育の水準が高く、陽気で社交的な性格の人が多いです。
そのため、介護現場での利用者との会話や、チームとの協調において、柔らかい雰囲気を作るのが得意です。
面接では、日本語の質問に対して英語で返したくなる場面があるため、通訳が日本語への切り替えを丁寧に行えるようサポートが必要です。
【注意点】
- 感情表現が豊かで、時に「軽く見える」印象を持たれることもある
- 家族を大切にするため、「休暇」や「仕送り」に強い関心がある

インドネシア:イスラム文化をふまえた配慮が大切
インドネシアは世界最大のイスラム教徒の国です。
そのため、礼拝の時間(1日5回)や豚肉・アルコールを避ける食文化など、宗教的な配慮が必要になります。
面接では、生活の中で宗教をどう守っているかをやさしく確認するとよいでしょう。
たとえば、「たべものの きまりは ありますか?」など、相手が話しやすい質問を心がけてください。
【注意点】
- 男性と女性が握手することに抵抗がある人もいる
- 面接中に祈りの時間が重なることもある(事前確認を)

ミャンマー:素直で忍耐強く、日本語学習への意欲が高い
ミャンマーの人々は、穏やかで礼儀正しく、素直に学ぶ姿勢があると評価されています。
また、日本語学習への意欲も強く、多くの候補者が自費で学習を続けています。
面接では、緊張して無言になることもありますが、それは「理解していない」のではなく、「失礼を避けたい」気持ちの表れです。
表情やしぐさを見ながら、やさしい声かけで安心させてあげましょう。
【注意点】
- 自分の意見を積極的に言う文化ではない
- 「はい」と答えても、本当に理解しているか要確認
※ 本記事で紹介している各国の「性格傾向」や「国民性」については、現場で多く聞かれる一般的な印象・傾向をもとにしています。当然ながら、個々の人材には多様な背景や個性があり、一概に国籍だけで性格や適性を判断することはできません。採用にあたっては、国籍だけでなく、人柄や価値観、コミュニケーションの姿勢といった“個人としての特性”を丁寧に見極める視点が重要です。

面接当日の流れと運営のポイント
面接当日は「スムーズな進行」と「やさしい雰囲気づくり」がカギ
面接の準備が万全でも、当日の進行がうまくいかなければ、候補者の本来の良さが見えずに終わってしまうこともあります。
とくに外国人面接では、「通訳の使い方」「質問の順番」「時間の配分」など、運営上のちょっとした工夫が大きな差を生みます。
この章では、面接当日に気をつけるべき運営ポイントを具体的に紹介します。
通訳を使うときの基本ルールを理解しておこう
外国人面接で通訳を使う場合、話す順番と伝え方に注意が必要です。
通訳を介すと、質問→翻訳→回答→再翻訳、という流れになるため、1つのやりとりに時間がかかります。
面接官が話すときは、1文を短く区切るのが鉄則です。
たとえば、「あなたはどんな仕事をしていましたか?それは何年間ですか?」という2文は、
「どんな しごとを していましたか?」→(通訳)→「なんねん しましたか?」→(通訳)というように、分けて聞くほうがスムーズです。
また、通訳者との事前打ち合わせで「専門用語や難しい言い回しは避ける」と確認しておくと安心です。
質問の順番と時間配分の工夫で、緊張をほぐす
面接の冒頭では、いきなり仕事の話に入らず、自己紹介や趣味など、話しやすい質問からスタートするのが効果的です。
候補者がリラックスできることで、本来の人柄や考えが出てきやすくなります。
質問は、以下のような流れを意識するとよいでしょう:
- 自己紹介や生活に関する質問(緊張をほぐす)
- 日本語レベルの確認(簡単な受け答えを見て判断)
- 志望動機・将来の希望(価値観を把握)
- 過去の仕事やトラブル対応経験(実務への適性)
また、面接時間は30~40分を目安とし、最後の5分は「逆質問タイム」を設けると、候補者の関心や理解度も測れます。
面接中によくあるミスとその予防策
面接中に起こりがちなトラブルには、次のようなものがあります:
- 【誤解】「はい」と言っても実はわかっていない
→ やさしい言葉で言い換えたり、例を出して確認する - 【混乱】通訳が質問の意図を理解していない
→ 通訳者とは事前に流れを共有し、「なぜこの質問をするのか」まで説明する - 【評価ミス】表情が硬く「やる気がなさそう」と誤解する
→ 緊張しやすい文化背景があることを念頭に、評価は慎重に行う
さらに、面接官が「試す」ような態度をとってしまうと、候補者は萎縮してしまいます。
面接は選抜の場であると同時に、信頼関係づくりの第一歩でもあることを忘れず、安心感のある雰囲気を心がけましょう。

合否判断とその後の手続き
面接のあとが重要!「伝え方」と「次のステップ」で信頼が決まります
面接が終わると「合否を決めるだけ」と思われがちですが、実はここからが本当の勝負です。
外国人候補者にとって、日本での就職は人生を左右する大きな決断。
そのため、合否の伝え方ひとつで、施設の信頼や今後の関係が大きく変わります。
この章では、合否判断の基準、通知の仕方、採用後に必要な手続きまでを具体的に解説します。
合否の基準は「日本語力」だけでは判断しない
外国人採用においては、「日本語が話せるかどうか」だけを見て合否を決めてしまうのは危険です。
たとえば、日本語が流ちょうでなくても、相手の話を理解しようとする姿勢が強かったり、
介護職に対する思いの強さやまじめさが伝わる人も多くいます。
合否を判断する際は、以下のようなポイントを総合的に見ることが大切です:
- 日本語理解力(今後の伸びしろも含める)
- 介護職への適性・熱意
- 協調性やチームとの相性
- 文化・宗教への配慮が必要な場合の体制づくりの可否
評価シートなどを活用して、複数の面接官で確認・すり合わせを行うと、より客観的な判断ができます。
合否の伝え方で、施設の信頼が決まる
合格の場合は、具体的な入国スケジュールや支援内容とあわせて伝えると、候補者も安心して準備に入れます。
たとえば、「あなたは合格しました。〇月に入国できるよう、手続きを進めます」といった明確な言葉が大切です。
一方、不合格の場合でも、相手の努力や挑戦をきちんと認めた上で、理由を簡潔に伝えるようにしましょう。
例:「今回は、もう少し会話の力が必要だと判断しました。でも、がんばって勉強されていることはよく伝わりました。」
また、送り出し機関には早めに報告し、次回に向けた改善点を共有することも信頼構築に役立ちます。
採用後に必要な手続きと配慮事項
合格通知を出したあとは、速やかに以下のステップに進む必要があります:
- 在留資格認定証明書の申請
- 支援計画の作成(登録支援機関と連携)
- 住居の確保・生活環境の整備
- 入国スケジュールの調整と航空券の手配
さらに、入国後は「就労前のオリエンテーション」や「生活習慣の指導」なども必要になります。
これらは施設単独で行うのが難しい場合もあるため、登録支援機関と役割分担を明確にしながら対応していくのが理想です。
不合格の場合でも、候補者が無駄に落ち込まないよう、送り出し機関を通じて再チャレンジへの励ましを伝えてください。

トラブル事例と対処法:採用前に押さえておくべきリスク
「知らなかった」では済まされない、よくある失敗とその回避策
外国人採用は、介護現場の人手不足を解決する大きな手段です。
しかし、その一方で「想定していなかったトラブルが起きた」という声も少なくありません。
この章では、よくある失敗事例とその原因、そしてトラブルを防ぐために面接前から意識すべきポイントをわかりやすく解説します。
虚偽申告・経歴詐称を防ぐには
「日本で働きたい」という強い思いがある一方で、候補者の中には、履歴書に事実と異なる情報を書く人がいるのも現実です。
たとえば、実際には介護経験がないのに「3年経験あり」と書いたり、日本語の理解力を実際以上に申告するケースがあります。
こうした虚偽申告を見抜くには、「履歴書の内容を質問で確かめる」ことが有効です。
例:
「この病院では、どんなお年寄りのケアをしましたか?」
「いちばん大変だった仕事は何でしたか?」
経験のある人なら、具体的なエピソードが自然と出てきます。
質問を深掘りすることで、申告内容の信ぴょう性を確かめることができます。
文化的な誤解や価値観の違いをどう乗り越えるか
日本人には当たり前のことでも、相手の文化によってはまったく意味が通じない、ということは多くあります。
たとえば、
- 上司の前でメモを取らない(失礼ではない文化)
- 利用者に対してあいさつをしない(敬意の示し方が異なる)
など、文化的な違いによる誤解が、本人の評価を下げてしまうことがあります。
これを防ぐには、「最初から文化の違いがある前提で見る」ことが必要です。
面接でも、「あなたの国では、仕事で大切にしていることはなんですか?」と聞くことで、相手の価値観を理解しやすくなります。
また、面接官側が「日本ではこういう場面でこうするよ」とやさしく説明する姿勢が、トラブル予防につながります。
法的NG質問とコンプライアンスへの注意
外国人面接でも、日本の雇用ルールは当然ながら適用されます。
知らずにやってしまいがちなのが、本人の意思とは関係ない質問や差別的な質問です。たとえば:
- 「結婚していますか?」「妊娠の予定はありますか?」
- 「宗教は?休みの日にお祈りしますか?」(本人が話していない場合)
こうした質問は、本人のプライバシーを侵害するリスクがあるだけでなく、採用差別として問題になる可能性もあります。
質問の内容に不安があるときは、送り出し機関や支援機関に事前に相談しておくと安心です。

「うまくいっている施設」には、必ず理由があります
「外国人採用は不安」「うちの施設に合うかわからない」――
そんな不安を持つ施設ほど、成功している事例を知ることで勇気を持てます。
この章では、実際に外国人面接・採用・定着に成功している介護施設の取り組みを紹介します。
同じ悩みを持っていた施設が、どうやってそれを乗り越えたのかを知ることで、あなたの施設でもすぐに活かせるヒントが見つかるはずです。
面接成功のカギは「聞き方」と「温かい雰囲気づくり」だった
ある地方の小規模施設では、初めてミャンマー人の面接を実施した際、現場スタッフ全員が同席し、
やさしい日本語であいさつしながら、笑顔で面接を進めました。
「あなたは しごとで、たいへんだった ことが ありますか?」
「ありがとう。よく話してくれましたね」と、相手の言葉をしっかり受け止めることを意識したそうです。
結果、候補者は「とても安心できた。ここで働きたい」と即答。
施設側も、「今までの面接よりも深く理解できた」と手ごたえを感じたそうです。
採用後の定着は「家族のような関係づくり」から生まれる
別の施設では、インドネシア人介護士を2名採用。
採用時に「ラマダンの時期にはどう対応すればいいか?」をしっかり話し合い、支援機関とも連携して勤務時間を調整しました。
また、誕生日や家族の話など、本人に関心を持って声をかけることで、
「この施設は自分のことをちゃんと見てくれている」と感じてもらい、離職することなく2年以上勤務を継続中です。
「日本人のスタッフ以上にがんばってくれている」と現場からの信頼も厚く、他のスタッフの意識も変わったそうです。
面接失敗からの学び:「準備不足」が招いた誤解と改善
ある施設では、面接で「日本語が通じない」「目を見て話さない」と感じ、不合格にしたことがありました。
しかし後日、送り出し機関から「その候補者はとてもやる気があり、緊張で話せなかっただけ」と説明がありました。
その反省をふまえ、次回は通訳者との事前打ち合わせや、質問の順番を工夫。
リラックスできる雰囲気を作るようにしたところ、面接内容が格段に改善され、
3名の採用・定着に成功しました。

忙しい人のための面接チェックリスト&テンプレート
「あれ、何を準備すればいいんだっけ?」を防ぐために
面接が近づくと、「通訳は?」「履歴書は届いてる?」「何を聞けばいいんだっけ?」と不安になることも多いと思います。
そんな忙しい現場の採用担当者のために、この章では面接前の準備物チェックリストや質問テンプレートを紹介します。
迷わず準備・実施できるようにしておくことで、当日の運営もスムーズになり、結果的に良い面接につながります。
面接前のチェックリスト
面接準備に必要な項目を、以下のように整理しておくと便利です。
施設内で使い回せるよう、できればチェックリストをPDFにして共有しましょう。
面接3日前までに準備するもの:
- 候補者の履歴書・日本語能力証明(N4〜N3など)
- 面接官の役割分担の確認
- 通訳者の手配と事前打ち合わせ
- 面接場所・Zoom等の通信環境チェック
- 質問リストと評価シートの用意
- 候補者の国や宗教、文化的背景の情報確認
こうしたチェック項目を抜け漏れなくこなすことで、落ち着いて面接に臨むことができます。
面接質問例テンプレート(外国人向け簡易版)
外国人候補者には「やさしい日本語」で質問することが基本です。
以下のテンプレートを使えば、初めての面接でも安心して進行できます。
- 「じこしょうかいを おねがいします。」
- 「どうして かいごの しごとを したいと おもいましたか?」
- 「にほんで どのくらい はたらきたいですか?」
- 「しゅうまつは なにを して いますか?」
- 「まえの しごとで、たいへんだった ことは ありますか?」
一問一答で終わらせず、「それは どうしてですか?」「たとえば?」など、相手の話を掘り下げる質問も用意しておきましょう。
文化別・注意すべき表現・行動一覧
以下は国別によくある誤解・注意点です。面接時の参考にしてください。
| 国名 | 注意点の例 |
| ベトナム | 「はい」と言っても理解していないことがある。表情は控えめだが緊張しているだけ。 |
| フィリピン | 笑顔が多く、軽く見られがちだが、誠実な姿勢を持っている。英語で返答しがち。 |
| インドネシア | 礼拝時間に配慮が必要。握手や目を合わせることに抵抗感を持つ人もいる。 |
| ミャンマー | 無口でも真面目な人が多い。発言を遠慮する文化なので、やさしく促すと良い。 |
このような文化的ポイントを知っておくだけで、面接がより円滑に進み、候補者の本質を見抜く手助けになります。
※ 本記事で紹介している各国の「性格傾向」や「国民性」については、現場で多く聞かれる一般的な印象・傾向をもとにしています。当然ながら、個々の人材には多様な背景や個性があり、一概に国籍だけで性格や適性を判断することはできません。採用にあたっては、国籍だけでなく、人柄や価値観、コミュニケーションの姿勢といった“個人としての特性”を丁寧に見極める視点が重要です。

【保存版】介護施設で外国人を採用する際の面接完全ガイド|準備から合否まで徹底解説とめ:東南アジア人材の面接を成功させるために
面接は「審査」ではなく、「信頼づくり」の第一歩
外国人の採用面接というと、「言葉が通じるか不安」「文化が違いすぎて難しいのでは?」と思われる方も多いでしょう。
しかし、実際に多くの施設が東南アジアからの人材を採用し、戦力として活躍してもらっています。
面接をうまく進めるためのポイントは、「評価の場」ではなく「信頼関係を築く場」として向き合うことです。
やさしい言葉、丁寧な説明、相手を理解しようとする姿勢――これらが、成功の鍵になります。
本記事で紹介した内容をふりかえる
これまでの章で、外国人採用の面接において以下のようなステップと視点を紹介してきました:
- 面接前の準備:書類確認・文化理解・通訳体制
- 面接時の対応:やさしい日本語・順序・表情や態度への配慮
- 合否判断の基準と伝え方:日本語力だけに頼らず、人柄と適性を評価
- トラブル予防:虚偽申告や文化の違いへの対応
- 成功事例:温かい対応が定着と信頼につながる
- 現場で使えるチェックリスト・質問テンプレート
これらは、どの施設でもすぐに取り入れられる実践的な内容です。
今すぐやるべきことと、相談できる相手を見つけよう
「よし、うちもやってみよう」と思った今がスタートのタイミングです。
まずは、送り出し機関や登録支援機関に面接の進め方や候補者情報を相談してみましょう。
信頼できる支援パートナーがいれば、初めての外国人採用でも安心して進められます。
そして何より、面接に来た候補者に「この施設で働きたい」と思ってもらえる空気づくりが、最大の成功要因です。
やさしさと準備、そして信頼。この3つを大切に、あなたの施設にぴったりの人材と出会えることを願っています。
悩んだら、以下から相談ください。無料ZOOM面談の他、施設に合った外国人採用計画を作成します。
↓↓↓
※ページが開いたら、大変お手数ですが
■氏名→「貴社名・お名前」をご記入ください
■メールアドレス→「メールアドレス」をご記入ください
■題名→「無料相談」とご記入ください
■メッセージ本文(任意)→差支えない範囲で、「現状お困りのこと」などご記入いただけると幸いです。
※ 本記事で紹介している各国の「性格傾向」や「国民性」については、現場で多く聞かれる一般的な印象・傾向をもとにしています。当然ながら、個々の人材には多様な背景や個性があり、一概に国籍だけで性格や適性を判断することはできません。採用にあたっては、国籍だけでなく、人柄や価値観、コミュニケーションの姿勢といった“個人としての特性”を丁寧に見極める視点が重要です。
※本記事は2025年5月時点の情報に基づいて執筆されています。今後、法改正・制度運用変更等が行われる場合がありますので、最新情報は出入国在留管理庁やJITCOの公式発表をご確認ください。※掲載されている事例の一部は、取材結果を元に再構成しています。個人や企業が特定されないよう一部内容を変更しています。※記事内に記載された制度情報・運用情報は、法人向け人材採用の判断材料としてご活用ください。個別ケースへの適用にあたっては、専門家や支援機関への相談を推奨します




